こんにちは、元摂食障害の管理栄養士、笹喜まきです。
一般的には、夜中に食べてもOK!とされる、ゼロカロリーのゼリーやジュース類。なんたってカロリーゼロだし、私も、摂食障害だったころはそこそこお世話になりました。
ですが今は、このゼロカロリー系だけは、できるだけやめて欲しい派です。
ゼロカロリーの食べ物・飲み物をとると、体や脳にどんなことがおきるか、わかりやすく説明します!
そもそも、何で甘いのにゼロカロリー?
まず、これらの飲み物・食べ物は、「甘いのに、なんでゼロカロリーなの?」とフシギになりませんか?
その理由は、砂糖のかわりに、『人間の体では吸収されない人口甘味料』をつかっているから。
みなさんは、食べ物のうしろの成分表示を見ることはありますか?私はめっちゃ見てました。カロリーとかの部分じゃなくて、材料がかかれているほうです。
そこに、こんな名前をみたことはないでしょうか?
- アスパルテーム
- アセスルファムカリウム
- スクラロース
- サッカリン
これらはすべて、『人口甘味料』です。
甘い味はするけれど、人間の体でエネルギーにならないから、カロリーは0とカウントされるものなんです。
ゼロカロリー「だけ」なら、たしかに体重は落ちる…でも?
実際、人工甘味料は、それ単体では血糖値をあげません。
カロリーが0だし、血糖値もあがらないなら、太らない。たしかに、ここまではだいたい合っています。
ですが実は、よくないこともあるんです。それは、つぎの3つ。
- つぎの食事の、血糖値を上がりやすくしてしまう。
- 食欲をごまかす効果はない。
- 腸内環境を悪くする可能性がある。
ゼロカロリーを摂取すると体にどういうことがおこるのか、わかりやすく説明していきますね。
1.ゼロカロリー食品や飲料は、つぎの食事で血糖値が上がりやすくなる。
人口甘味料は、たべてもエネルギーにならないし、血糖値もあげません。
だから、ついつい夜中に食べたり、不安なときの許可食にしちゃいますよね。
ですが、ワシントン大学の研究では、『人工甘味料をとったあと、数時間後に普通の糖分をとると血糖値やインスリンの分泌が20%高くなる』という結果がでています。
血糖値が高くなりすぎると、血管のなかが傷ついたり、のども乾きやすくなります。
さらに、血糖値を下げるホルモンの『インスリン』もたくさん出るので、糖分を脂肪としてため込みやすくなったり、今度は逆に血糖値が下がりすぎて、食欲がさらに増してしまったりもします。
さらに、血糖値が急にあがると、お肌を老化させるAGEsという物質ができやすくなります。
つまり、残念ながら「キレイになりたい」思いとは、逆の結果になってしまうんです。
2.ゼロカロリーゼリーやコーラは、食欲をごまかす効果はない。
2つ目の問題は、ゼロカロリー食品では、食欲をおさえることはできないということ。
せっかく食欲をおさえるためにゼロカロリーを食べているのに、その効果がないなんて、なんだかショックですよね…。
私たちの体には、『グレリン』という食欲増加ホルモンがあります。このグレリンは、お腹が空いているときに分泌され、何か食べると落ち着きます。
実際、お腹がすいたときにゼロカロリーゼリーだけを食べて、ほんとうに満足できていますか?
おそらく多くの人が、そこからさらに別の食べ物に手をだしているはずです。もしくは、もっと食べたいのを必死にガマンするはめになったり。
これは、ゼロカロリー食品だけをたべても、食欲がふえるホルモンは落ちつかないからなんです。
3.腸内環境を悪くしてしまう。
ここまでで、太りたくない人にとって、ゼロカロリー食品はむしろ逆効果、と思ってもらえたでしょうか。
ここからはもう一つ、ゼロカロリー食品のデメリットをお話ししますね。
それは、腸内環境を悪くしてしまうこと。
腸って、吸収やお通じなどいろいろなものにかかわってくる大事なところですよね。最近では、腸をととのえるとメンタルも整う、という考え方もあって、私もそれを支持しています。
人工甘味料を取り続けると、糖尿病になりやすくなる?
じつは人工甘味料と腸内細菌の関係は、いろんな研究結果がでています。
世界的に有名な科学誌『ネイチャー』に出された論文によると、人工甘味料のサッカリンをマウスにあたえると、食べた糖質を処理するチカラを下げ、糖尿病のリスクをふやすということがわかっています。
さらに、人間に対しておこなった実験でも、7人中4人が、マウスと同じ結果になって腸内細菌が大きく変わってしまったそうです。
もちろん、すべての人がそうなるというわけではありません。
ですが、ダイエット飲料をよく飲む人は糖尿病になる確率が高い、は複数の論文でいわれていることなので、食べ物や運動習慣などもふくめて、私は信じていいと思ってます。
もう一つ、ココロへの影響も
また、人工甘味料のアスパルテームは、体内で代謝されたときに『幸せホルモン』のセロトニンの材料であるトリプトファンが脳へ送られるのを邪魔してしまう、という報告もあります。
摂食障害の人はうつを併発してる人も少なくないと思うんですが、幸せを感じる神経伝達物質が減ったら、さらにしんどくなってしまいますよね。
とくに、幸せホルモンのセロトニンは腸でつくられるので、腸の状態はいいにこしたことはありません。なので、うつのときは、できるだけ自然のものを食べたほうがいい、は理にかなっているんです。
なんで腸内環境が変わっちゃうの?
とはいえ、人間が吸収できないはずの人工甘味料で、どうして腸内環境が変わっちゃうの?って思いませんか?
その通り、ゼロカロリー食品につかわれている人工甘味料は、人間の体では吸収も分解もできないので腸までそのままたどり着きます。
人間の体には100 兆もの腸内細菌がいるといわれていますが、たとえ人間にはなにも影響がなくても、その腸内細菌さんたちに、なにもないとは言い切れないんですよね…。
なので、太りたくない人や健康になりたい人こそ、ゼロカロリー食品はできるだけやめたほうがいい、と私は考えています。
じゃあ、ゼロカロリー食品は絶対に食べちゃいけないの?
今回のお話をまとめると、できれば「飲まない/食べないほうがいい」ということになります。
そして、ゼロカロリー食品を食べても、食欲をおさえてキレイになることや、健康になることにはつながらない、と思ってください。
当時の私が聞いたらショックを受けそうですけど、ゼロカロリー食品って、決して『安心食』ではないんです。
ゼロカロリー食品は、あくまでアイスやチョコと同じ『嗜好品』。なので、それが好きで食べていて、食べることでほんとうに心が満たされているのなら、私は止めません。
ですが、キレイになるのが目的の人や、もっとふつうに食べたい…と思っている人にとっては逆効果のことが多い、と覚えておいてくださいね。
一つずつでも、意識して実際に「変えていく」ことが、いずれ大きな変化のきっかけになりますよ。