こんにちは、元摂食障害の管理栄養士、笹喜まきです。
「とにかく、食べて太るのが怖い」
「食べた方がいいとわかってても食べられない」
「吸収されるのが怖くて、吐いたり出したりしてしまう」
これは私が摂食障害だったころ、ずーっと思っていたこと。
LINEでいただく相談でも、このお悩みはすっごく多いです。
今日は、太るのが怖くてあれこれしちゃう気持ちを、2つのステップでやさしくほどいていきます!
ステップ1.太るのが怖いのは、太った人は○○と決めつけているから。
まず、先日見たドラマの話をしますね。
イノセンス~冤罪弁護士~っていうドラマで、こんなセリフがありました。(King Gnuが主題歌だったやつです)
ヒロインの弁護士の女の子が、
「うちは母子家庭だから、バカにされないように勉強して、弁護士になった」
って言うんです。
すると、主人公の男性はこう言います。
「それって、あなた自身も、『母子家庭はバカにされる』って価値観を受け入れてる、ってことですよね」
つまり、「母子家庭はバカにされても仕方がない」という価値観を、ヒロインの女の子自身も受け入れてしまっていた、ということです。
太ったら、太っていたらどうなるんだろう
では、太ったらどうなるのか、太っていたらどうなのか、具体的に言葉にしてみたことはありますか?
ここでは、何キロとか体重の話はしません。あくまで、それぞれが太っていると思う基準で大丈夫です。
私が今まで出会ってきた摂食障害の人は、ほぼ全員がこんなふうに答えました。
「太っているとバカにされる」
「太っているのはみじめだ」
「太っている人は仕事ができない」
「太っている人は自己管理ができない」
「太っている人は価値がない」
「太っているのはダメなこと」
あなたも、こんな風に思っていませんか?
もちろん、太っていることで病気のリスクが上がることはあります。(糖尿病や高血圧、心血管疾患など)
ですが、太っているからバカにされる、太っているから価値がない、というのは本当に正しいことなんでしょうか?
正しいなんて、ないのかもしれないけど。みんなが、世間がそういうから仕方ない、のかもしれませんけど…。
太るのが怖い=太った結果〇〇されるのが怖い
太るのが怖い、という人の気持ちをじっくり聞いてみると、「太って〇〇されるのが怖い、イヤだ」という気持ちが出てきます。
つまり、太ること自体が怖いんじゃなくて、太って〇〇されるのが怖いんです。
上のイラストのような不安が出てくるのは、「これまでにそういう経験をしたから」という人がとっても多いように感じます。
実際、昔に体型のことでいじめられていた、今も家族に言われている、ということを打ち明けてくれる人も多いです…。
たとえば森でハチに刺された人が、もう森に行きたくないと思うように。
太ることで味わった辛いことを、もう経験しなくてすむように、脳にしっかりインプットされちゃってるんです。
でも、さっきのドラマの話を思い出してください。「太って○○されたくない」と思うことは、あなた自身も、その価値観を受け入れてる、ということです。
「太っているとバカにされる」
「太っているのはみじめだ」
「太っている人は仕事ができない」
「太っている人は自己管理ができない」
「太っている人は価値がない」
「太っているのはダメなこと」
たしかに今の世の中は、やせてる人ばかりが褒められて、成長期のはずの小学生が見るメディアや雑誌でもダイエット特集が目立ちます。
YouTubeやネットの広告でも、やせたらハッピー!みたいにめっちゃ煽ってきますし、「太っているのはダメだ」と思わされてしまうのも無理はないと思います。
…でも。
あなた自身も、この先ずーーっと、そう思いつづけて生きていきたいですか?
つまり、太っている人を見たら、やせている人より格下だ、と見下す側の人でありつづけるということです。
もしそうなりたい人は、何も言うことはないので、そっとこの記事を閉じてください。
(気になったら戻ってきてね)
価値観を変えていくリハビリをしよう。
ここからは、「太っている人は〇〇だ」という、価値観を変えるリハビリ方法を紹介します。
これは、外に出て、実際にやってみたほうが効果があります。かかる費用は0円です。
1.まず、あなたの基準で「太っている」と思う人を見つけます。
まず、あなたの基準で「太っている」と思う人を見てください。
そこでブラックな考えが沸いてきたら、まずそれを自覚します。
たとえば、「私のほうがマシ」という優越感。ほかには、なんであの体型でスキニー履けるの?とか、なんで堂々としてられるんだろう…っていうギモンでもいいです。
2.次に、その人の可能性を最大まで引き上げてください。
そうしたら、その人の可能性を最大限まで「妄想」してみてください。
たとえば、
- あの人、太ってるけど実はめっちゃすごい社長さんかもしれない!
- あの人、家ではめちゃめちゃ旦那さんに愛されまくってるかもしれない!
- あの人、実はダンサーですっごいキレッキレのダンス踊る人かもしれない!
- あの人、じつは何十万も稼いでるすごいプログラマーかもしれない!
…とか。
あとは、先に浮かんだ考えを打ち消す方向でもいいですね。
- 「なんであの体型でスキニー履けるの?」
→スキニー履きこなせる自信があるのが素晴らしいよね。何を着ても自由、好きなアイテムで自分を表現できる人なのかも - 「なんで堂々としてられるの?」
→人の目を気にしない、これからの時代に合った価値観をもつ人なのかも、ちょっとうらやましいな
ポイントは、「~かもしれない」って可能性を広げておくことです。
こんなふうに、あなたの基準で「太ってる」と思う人にこれを繰り返すことで、だんだん、太ってる=ダメというイメージが薄まっていきます。
とはいえ、あなた自身が太っていることに対する認識を変えたところで、周りの人がそう思ってなかったらしんどいですよね…。
なので、次は実際になにか言われたときに、心を守る方法をお伝えします。
ステップ2.すべてのいじめや暴言は、八つ当たりと心得る。
私もよく子供たちにも伝えてますが、
「すべてのいじめや暴言は、相手の八つ当たりである。」
これを徹底してください。
私のところに相談にくる人は、過去に太っていることでいじめを受けた、と打ち明けてくれる人も多いです。
先ほど、「太っている人は〇〇だ」というのは、その人がそういう価値観をもっているから、とお話しましたね。
でもそれを、人に直接言うか言わないか、って、何の違いかわかりますか?
「すべてのいじめや暴言は、相手の八つ当たりである。」
これ、思い出してください。
満たされてる人は、人を攻撃したりしない。
じつは、心が満たされてる人って、人を攻撃しないものなんです。
なので、いじめや暴言、無視やいやがらせをしてくる人って、「100%、その人自身がうまくいってないことの八つ当たり」なんです。
でも、それはそう思うことで自分の心を守ろうとする、脳の防御反応なんです。
よく、「私なんかが辛いだなんて、そんなこと言えませんが…」という人もいますが、つらかった気持ちを感じることに、理由も制限もいりません。
辛さは人それぞれ、でいいんですよ。
「すべてのいじめや暴言は、相手の八つ当たりである。」
これをふまえた上で、もしカウンセリングを受けられる人は、「過去のいじめや暴言で受けた傷を癒やしたい」と相談してみてくださいね。
できれば、似たような経験をもつカウンセラーさんがベストです。
まとめ
今回は、太るのが怖い気持ちを和らげる2つのステップについてお話しました。
- 太っている人は○○、という思い込みをゆるめるリハビリをする。
- すべてのいじめや暴言は、相手の八つ当たりと心得る。
どちらも、今日から使えるライフハックです。
あなたが、笑顔で美味しいごはんを食べられる日を、心から願っています!