「一日中、食べ物のことで頭がいっぱい」
「食べたら、すぐ次の食事のことを考える」
「何を食べようか、いつも悩んでしまう…」
こんにちは、元摂食障害の管理栄養士、笹喜まきです。
「一日中、ほんとに食べ物のことで頭がいっぱい」は、相談をうけるなかでも、とくに多いお悩みです。いいかげんやめたいのに、やめられないんですよね。
食べ物のことしか考えられない理由は、大きく2つ!
食べ物のことしか考えられない理由は、ほとんどがつぎの2つです。
- 単純に栄養不足
- 食べもののことを考えるのがいちばん『ラク』だから
1つ目の「栄養不足」は、もしかしたら思い当たる人もいるかもしれません。
でも、2つ目の食べもののことを考えるのがいちばん『ラク』は、全然ラクじゃない!むしろ辛いのに!!って、ちょっと違和感がありますよね。
どういうことか、順番に解説していきますね。
食べ物のことばかり考える理由1.栄養不足
一つ目の理由は、カラダの栄養不足。
太りたくない気持ちが強すぎて、野菜やローカロリー食品しか食べてなかったり、食パン1枚とブラックコーヒーなどで食事をすませていませんか?
あとは、脂質がこわくて、食べるのをひかえていたり。ですが、
やせたい気持ち、太るのがこわい気持ちは、私もほんとに痛いほどよくわかります。
太った自分は許せなかったり、自己管理ができてないと思われる気がするんですよね…。
でも、その前にまず、思い出してほしいことがあります。わたしたちも人間であり、生き物なんです。
みんな、動くためにはエネルギーが必要
どんな生き物でも、栄養不足でエネルギーが足りないと、死んでしまいます。動物はもちろんですが、車だってガソリンがないと動かないし、スマホも充電がないと動きませんよね。
なので、生きのびるために、脳は「エネルギーを得ろ!」とカラダに命令を出します。その手段が、人間は食べ物のことを考えることなんです。
つまり、食べ物のことばかり考えてしまうのは、自分がおかしいんじゃなくて、生き物としての正常な反応なんです。
この能力がなかったら、人間はとっくの昔に絶滅していると思います。
さらに飢餓状態では、ココロにも変化があらわれる
さらに、栄養不足がつづくと、今度はココロにも変化があらわれてきます。
- 集中力、判断力がなくなる
- 不安になる、怒りっぽくなる、イライラする
- 無気力になったり、以前の趣味を楽しめない
- 人に会いたくない
- ~しないと気が済まない、こだわりが強くなる
このあたりも、栄養不足のサインです。
まわりの人ともうまくいかなくなってくるので、自分の性格のせいにしたり、相手のせいにもしたりしがちですが、じつは、その原因は栄養不足だったりします。
なのでこの場合は、ごはん・タンパク質・野菜(食物繊維)をできるだけしっかり食べることで、本人も食欲や気持ちの変化を実感しやすいです。
炭水化物(ごはん)も、最低グーの手1個分はとりましょう。買ってきても、インスタントでもOKです。
コツは、一日1回、このバランスならOK!!!と割りきること。できなかったら、次の日に2回で十分です。
食べ物のことばかり考える理由2.そのほうがラクだから
食べ物のことばかり考えてしまう2つ目の理由は、『食べ物のことを考えていたほうが、ラクだから』。
「え?」って思うかもしれませんが、実際、ココロの奥の無意識では、そう思っている部分が、どんな人もかならずあります。
むしろ、食べ物のことをひたすら考え続けることで、あなたは『何か』から、助かってるんです。
食べ物の悩みは、なにかを隠している。
「一日中、食べ物のことで頭がいっぱい」
「食べたら、すぐ次の食事のことを考える」
「何を食べようか、いつも悩んでしまう…」
じつは正直、これらのお悩みは、そこだけに注目してもほとんど意味がないんです。
なぜなら、これはカラダの症状(脳の反応)で、ほんとうに解決すべきことではないから。
お話を聞いて、栄養不足の人にはまず食べることをすすめますが、ちゃんと調べてそこそこ食べてるのに一向に改善されない人や、バランスよく食べたいのになぜか食べられない…という人は、だいたいこっちです。
じゃあ、ほんとうに解決すべきことってなんだろう?
じゃあ、そのほんとうに解決すべきこと、っていったいなんなのでしょうか?
たとえば一例をあげると、「食べ物のことばかり考えてしまう」で検索すると、まずは先ほどの栄養不足のほかに、「趣味を見つけよう」とか「ヒマな時間をつくらない」とか、いろいろ出てきます。
でも、いくらネットでそう見たからといって、「今さらやったって…」「私にはムリかも…」っていうネガティブさんが顔を出してきませんか?
私はむしろ、そのネガティブさんこそが、大事なポイントだと思っています。
「楽しんでいい」「失敗したっていい」って、思えてますか?
食べる以外に趣味がない、やりたいことがわからない、という人は意外とたくさんいます。摂食障害でなくても、そういう人は多いですよね。
そんな時は『とりあえずやってみる』ことをおすすめしていますが、それができない、なんとなくやりたくない…から悩んでいるんだと思います。
そこで、「なにがひっかかって挑戦できないんだろう?」と考えてみてください。
すると、なにかを新しく始めるのに対して、心にブレーキが見つかると思います。
心のブレーキとは具体的にいうと、
- 失敗したらどうしよう…
- 私なんかがやっていいのかな?
- どうせまた、うまくいかないんじゃ?
といった不安な気持ちのことです。これは1人1人違うので、ぜひ自分の言葉で出してみてください。
食べ物のことを考えないようにするためには、なにか夢中になれるものを見つけるのがいい、とはなんとなくわかっている。
ですが、「自分も楽しんでいい」「続かなくたって、チャレンジはどんどんしていい」その許可を、自分に出せていますか?本当の問題は、そこの部分だと思います。
食べ物のことばかり考えてしまうのは、本当の悩みを隠すため。
こんなふうに、一見食べ物のことで悩んでる人は、じつはみんな、無意識のブレーキさんがかくれてるんです。
いまの例は『新しいことに踏み出せない人』でしたが、ほかにもいくつかパターンがあります。
- 今の仕事や人間関係に不満がある
- 家族に対して不満がある
- 将来が不安
- お金が不安
だいたい皆さん、このどれかの悩みも平行して持っています。
そして、それは具体的に言える場合もあるし、まだなんとなーくの場合もありますね。
でも、この辺の悩みに、真剣に向き合うのって、めっっっちゃ勇気いりますよね。
イヤだし、見たくないし、言いたいこと言ったら何て言われるかわかんないし、さらに困ったことになっても困るし、自分なんかダメでキライで当たり前だし、
とにかく、……辛い。ですよね。
だから、それを考えなくてすむように、本当の問題に向き合って辛さを感じなくてすむように。人は、あえてちがうことを考えるんです。
つまりそれが、食べ物のこと。
だって、食べ物のことならいくら考えても、命にキケンないし、それだけで存在を否定されることもないし。
つまり、頭のなかが食べ物でいっぱいになるので、栄養面・ココロの面どっちでも、『自分を助けようとして』おこってることなんですよ。
まとめ:
さいごに、もう一度おさらいです。
「一日中、食べ物のことで頭がいっぱい」
「食べたら、すぐ次の食事のことを考える」
「何を食べようか、いつも悩んでしまう…」
これらの悩みの正体は、大きく2つです。
- エネルギー(栄養)が足りなくて生きるのにキケンな状態なので、脳が「食べろー!」と信号をだしている
- 心がこれ以上辛いことを考えなくてすむように、自分を守っている
食べ物のことが頭からはなれないのは、どちらの場合でも、『自分を助けようとして』脳が自主的にやっていることなんです。
とくにダイエットがきっかけで摂食障害になった人は、この2つがダブルでおきてることもあります。
そこで、今すぐできる対策は「自分はダメだ」と言うのをやめること。
自分はダメだ、というのは、いまの自分はNG、ということです。さきほど少しふれた、「自分にOKを出す」とは反対の行動ですね。
あなたがこれ以上傷つかないように、けなげに頑張っている脳や体を、まずは否定しないでみてほしいんです。
自分いじめをやめられるのは、自分だけなんです。
自分いじめをやめられるのは、自分だけ。
あなたは、ほかの誰かに面とむかって、「ダメ」とか「デブ」という、傷つく言葉をかける人ですか?
この記事を最後まで読んでくれたあなたは、きっと、むしろ言われる側の痛みがわかる人のはず。
自分いじめをやめれば、食べ物やカロリーのことは、いつのまにか自然と気にならなくなっていきますよ。
読んでくださって、ありがとうございました。